【完全復元】第69回税理士試験(消費税法)

【最終更新】2019.08.23 18:00 大原修正ボーダー反映済


目次

【試験後の感想】

解いた順番は、第二問 問1 → 第二問 問2 → 第一問です。
今回も原則&簡易でくるかと思いきや、まさかの大問で納税義務の判定でしたね。

これをどう乗り切ったかが、今年の本試験の結果を大きく左右すると言っても過言ではないかと。

ちなみに僕はというと、特定新規の判定だなと分かった瞬間諦めました。
とりあえず「期首資本金の額」まで書いて、A氏だけ「特定要件に該当する」と書いて、あとは適当な理由をつけて「該当しない」としています。
このおかげか、第二問 問2は、おおよそ10分~15分くらいで切り抜けました。笑

計算の第一問は、比較的解きやすかった印象があります。ちょいちょい間違ってしまったと思われますが。
もしかしたら、問1の最終値勝負になるなんてことないですよね・・・
そうなったら脱落です。

理論の方はというと、問1はとても書きやすかったのですが「非課税資産の輸出」を余計に書くという失態を犯しました。
あと、「取引の様態ごとに」ってなんだ?と思い無視しました。
(2)の具体例も書いていません。

問2は、ここ聞くか?というのが正直な感想です。
なんか良くわからなかったので、簡易課税制度の要件【3-10 1.簡易課税制度の選択の届出 (1)要件】と【3-10 2.調整対象固定資産等の仕入れ等を行った場合】をベタ書きしました。

ここまでで結構時間を使ってしまい、確か残り10分くらい。

あとは、(2)を計算の知識をフル活用して、とりあえず「定義」っぽいことと「みなし仕入率」を羅列してみました。
「第○種事業」と書くべきところを、何を思ったか「第○業種」と書いてしまいました。
お願いだから見逃して…って感じです。

(3)は、時間がなくて「白紙」です。
今思えば、書けたところではありますが、時間がなかったのでしょうがないです。

それでは、これより下、【解答復元】をどうぞ!

コメントなど、お気軽にお待ちしております。


(注)これは模範解答ではありません。私が第69回税理士試験において、解答用紙に記載した『そのまま』を掲載しておりますのでご了承下さい。

【第一問】[大原26点/TAC31点]

問1(大原15/25点)(TAC19/25点)

(1)について(大原13点/TAC16点)

1.免除の対象となる取引(輸出取引等の範囲)

(1) 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡、貸付け
(2) 外国貨物の譲渡、貸付け((1)を除く。)
(3) 国内及び国外にわたって行われる旅客、貨物の輸送、通信
(4) 専ら(3)の輸送のように供される船舶、航空機の譲渡、貸付け、修理で、船舶運航事業者等に対するもの
(5) (1)~(4)の資産の譲渡等に類するもの
① 外航船舶の譲渡、貸付け、修理等で船舶運航事業者等に対するもの
② 外国貨物の荷役、運送、保管、検数、鑑定その他これらに類する役務の提供(指定保税地域等における内国貨物に係るものを含み、特例輸出貨物に係るものは一定のものに限る。)
③ 国内及び国外にわたって行われる郵便、信書便
④ 無形固定資産の譲渡、貸付けで非居住者に対するもの
⑤ 非居住者に対する役務の提供で、次のもの以外のもの
イ 国内に所在する資産に係る運送、保管
ロ 国内における飲食、宿泊
ハ イ、ロに準ずるもので国内において直接便益を享受するもの

2.適用を受けるための要件(輸出証明)

(1)内容
この規定は、輸出取引等であることにつき証明がされたものでない場合には、適用しない。
(2)証明方法
輸出の事実を記載した書類又は帳簿を整理し、課税資産の譲渡等を行った日の属する課税期間の初日から2月を経過した日から7年間、納税地又は事務所等の所在地に保存することにより証明する。

3.輸出免税制度が採用される理由

本来なら、国内において行う課税資産の譲渡等には消費税が課されるが、「消費地課税主義」の視点、「国際競争力の低下」の視点から、この制度が採用されている。

※【減点されそうな箇所】
① 取引の態様ごとの証明方法を書かなかった。
② 制度が採用される理由で「二重課税」に言及なし

(2)について(大原2点/TAC3点)

1.概要

本問の場合には、「非課税資産の輸出」「資産の国外移送」が該当する。(下記には、有価証券、支払手段、金銭債権の輸出は含まない。)

2.非課税資産の譲渡等

事業者(免税事業者を除く。)が、国内において非課税資産の譲渡等のうち輸出取引等を行った場合において、その証明がされたものは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして、仕入れに係る消費税額の控除の規定を適用する。

3.資産の国外移送

事業者(免税事業者を除く。)が、国外における資産の譲渡等又は自己の使用のため資産を輸出した場合において、その証明がされたものは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして、仕入れに係る消費税額の控除の規定を適用する。

4.輸出証明

輸出の事実を記載した書類又は帳簿を整理し、その取引を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又は事務所等の所在地に保存することにより証明する。

※【減点箇所】
①「非課税資産の輸出」も書いてしまった。
②「資産の国外移送」の課税売上割合(FOB価格)の言及なし。
③ 具体例を書かなかった。

問2(大原11/25点)(TAC12/25点)

(1)について(大原7点/TAC7点)

イ 簡易課税制度の適用要件

事業者(免税事業者を除く。)が、納税地の所轄税務署長に、基準期間における課税売上高が5,000万円以下である課税期間(分割等に係る課税期間を除く。)について、簡易課税制度選択届出書を提出したときは、提出日の属する課税期間の翌課税期間(注1)以後の課税期間(注2)については、課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、原則にかかわらず、一定の金額とする。
この場合は、その金額を、その課税期間の仕入れに係る消費税額とみなす。
(注1)相続、合併、分割により事業を承継した場合には、その課税期間
(注2)基準期間における課税売上高が5,000万円を超える課税期間及び分割等に係る課税期間を除く。

ロ 提出が制限される場合(調整対象固定資産等の仕入れ等を行った場合)

(1) 内容
簡易課税の適用を受けようとする事業者は、次の①又は②の場合には、その調整対象固定資産の仕入れ等を行った日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間は、簡易課税制度選択届出書を提出することができない。
① 事業者が課税事業者選択届出書の提出制限を受ける課税期間にその調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合
② 新設法人又は特定新規設立法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間に仕入れ等を行った場合

(2) 適用除外
事業を開始した日の属する課税期間その他一定の課税期間に提出した場合には、適用しない。

(3) 提出がなかったものとみなす場合
(1)の場合において、その仕入れ等の日の属する課税期間の初日からその仕入れ等の日までに簡易課税制度選択届出書を税務署長に提出しているときは、その提出は、なかったものとみなす。
よって、Aは翌課税期間においては、簡易課税制度の適用を受けられる。(上記ロ(1)①に該当しないため。)

※【減点されそうな箇所】
① あまり本文に即していない解答の仕方をした。(ベタ書き中心)
②「高額特定資産の仕入れ等」を省いてしまった。
③ 翌課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円を超える可能性に言及なし。

(2)について(大原4点/TAC5点)

1.事業区分の定義

(1) 第1業種・・・事業者が、仕入れたものを形状等を変えず、他の事業者に譲渡するもの
(2) 第2業種・・・事業者が、仕入れたものを形状等を変えず、消費者に譲渡するもの
(3) 第3業種・・・製造業、農林業、建設業、加工業等に該当するもの
(4) 第4業種・・・(1)~(3)、(4)、(5)以外のもの
(5) 第5業種・・・保険業、金融業、サービス業(飲食業を除く。)等に該当するもの
(6) 第6業種・・・不動産業

2.各事業区分に適用されるみなし仕入率

(1) 第1業種・・・90%
(2) 第2業種・・・80%
(3) 第3業種・・・70%
(4) 第4業種・・・60%
(5) 第5業種・・・50%
(6) 第6業種・・・40%

※【減点されそうな箇所】
①「第○種事業」を「第○業種」と書いてしまった。
② 「定義」の説明が甘い。

(3)について(大原0点/TAC0点)

白紙です。。

※【減点されそうな箇所】
① すべて

【第二問】[大原37点/TAC39点]

問1(大原30/35点)(TAC34/40点)

Ⅰ.納税義務の判定
(1) (614,241,600-301,884,000)×100/108=289,220,000
(2) (1)×12/9=385,626,666>10,000,000 ∴納税義務あり

Ⅱ.課税標準額に対する消費税額

【課税標準額】×543,346,000円
580,000[原状回復]+24,652,000[C建物]+648,000[契約変更後]+(684,550,000-475,630,000)[G建物]+(615,620,000-330,000,000)[H建物]+(53,168,000-27,400,000)[J戸建]+40,276,000[仲介収入]+120,000[ローン斡旋]+230,000※[低額譲渡]=586,814,000
586,814,000×100/108=543,346,296→543,346,000(千円未満切捨)
※ 230,000×50%=115,000>50,000 ∴低額譲渡に該当する

【課税標準額に対する消費税額】×34,230,798円
543,346,000×6.3%=34,230,798

【控除過大調整税額】0円
課税売上げに係るものでないため、なし。

Ⅲ.仕入れに係る消費税額の計算等

【課税売上割合】

(1) 課税売上高
543,346,296>500,000,000
∴仕入税額は按分計算が必要

(2)非課税売上高
(25,340,000-580,000)[A建物]+64,418,000[B建物]+(55,467,000-648,000)[C建物]+10,500,000[E土地]+2,200,000[F土地]+475,630,000[G建物]+330,000,000[H建物]+71,336,000[I土地]+27,400,000[J戸建]+×4,278,000[保険代理店手数料]+142,530[国内利息]+300,000[外国利息]+3,600,000[出資持分]+180,000[損害賠償金]=1,069,563,530

(3)
(1)+400,000[宅配ボックス]+300,000[外国利息]
―――――――――――――
(1)+(2)+400,000[宅配ボックス]
=0.3372…≒33.72%<95%

【控除対象仕入税額】×17,348,764円

[課税仕入れ等の税額の合計額の計算]

(1)区分経理及び税率

① 課税売上対応
378,000[宅配ボックス]+540,000[コンサル料]+254,966,000[H建物建築費]+23,189,000[J戸建建築費]+1,927,000[ビル仲介]+80,000[外国社債媒介手数料]=281,080,000
281,080,000×6.3/108=16,396,333

② 非課税売上げ対応
1,728,000[A建物管理費]+4,174,200[B建物管理費]+3,240,000[AB建物募集]+×A対応560,000[修繕費]+5,500,000[I土地造成]+×A対応2,240,000[アパート仲介]=17,442,200
17,442,200×6.3/108=1,017,461

③ 共通対応
5,362,000[C建物管理費]+2,700,000[C建物募集]+4,860,000[不動産賃貸事業全般]+800,000[J戸建造成]+×A対応1,250,000[戸建仲介]+×A対応3,417,000[その他事業全般]+337,500[健康診断]+(1,327,500-30,000)[慰安旅行]+765,000[福利厚生残]+(2,940,800-80,000)[支払手数料]+×不課税80,000[会費]+120,000[クラブ年会費]+23,760[カード年会費]+24,543,560[その他の費用]=48,417,120
48,417,120×6.3/108=2,824,332

④ 合計
(281,080,000+17,442,200+48,417,120)×6.3/108=20,238,127

(2)個別対応方式
16,396,333+2,824,332×33.72%=17,348,764

(3)一括比例配分方式
20,238,127×33.72%=6,824,775

(4) 判定
(2)>(3) ∴17,348,764

[調整対象固定資産に係る控除税額の調整の計算等]

(1) 判定
① A建物
268,000,000×100/105=255,238,095≧1,000,000 ∴該当する
② B建物
450,000,000×100/108=416,666,666≧1,000,000 ∴該当する
③ C建物
366,700,000×100/108=339,537,037≧1,000,000 ∴該当する
④ゴルフ場利用株式
3,672,000×100/108=3,400,000≧1,000,000 ∴該当する
⑤ 営業用車両
(1,650,000-153,000)×100/108=1,386,111≧1,000,000 ∴該当する
⑥ 応接セット
(1,180,000-110,000)×100/108=990,740<1,000,000 ∴該当しない
※1 A建物、B建物、営業用車両は比例配分法により計算していないため、調整なし。

[控除対象税額の計算]
17,348,764

Ⅳ.差引税額の計算

【差引税額】
34,230,798-17,348,764=16,882,034→16,882,000(百円未満切捨)

Ⅴ.中間納付税額の計算

【中間納付税額】11,103,600円

(1) 一月中間申告
14,805,000/12=1,233,750≦4,000,000 ∴適用なし
(2) 三月中間申告
① 判定
14,805,000/12×3=3,701,250>1,000,000 ∴適用あり
② 中間納付税額
3,701,200(百円未満切捨)×3=11,103,600
(3)六月中間申告
適用なし

Ⅵ.納付税額の計算

【納付税額】×5,778,400円
16,882,000-11,103,600=5,778,400

問2(大原7/15点)(TAC5/10点)

Ⅰ.第1期(自平成29年9月1日至平成30年3月31日)の納税義務の有無の判定

(1) 甲社
① 基準期間なし
② 特定期間なし
③ 期首資本金の額 3,000,000<10,000,000
(2) A氏
① 特定要件 100%>50% ∴特定要件に該当
② A氏と乙社 5% ∴特殊な関係にある法人に該当しない×
③ A氏と丙社 F氏10% ∴該当しない×
④ A氏と丁社 0% ∴該当しない
∴納税義務なし

Ⅱ.第2期(自平成30年4月1日至平成31年3月31日)の納税義務の有無の判定

(1) 甲社
① 基準期間なし
② 特定期間
7月≦7月 ∴なし
③ 期首資本金の額 3,000,000<10,000,000
(2) A氏
上記Ⅰ(2)と同じ。×
∴納税義務なし

Ⅲ.第3期(自平成31年4月1日至令和2年3月31日)の納税義務の有無の判定

(1) 甲社
① 基準期間
5,800,000×12/7=9,942,857≦10,000,000
② 特定期間
イ 売上高
17,800,000>10,000,000×
ロ 給与等
11,000,000>10,000,000
∴納税義務あり

【合計得点】

大原基準 63点(ボーダー64点/確実69点)

【第一問】26点+【第二問】37点=63点

TAC基準 70点(ボーダー54点/確実67点)

【第一問】31点+【第二問】39点=70点

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