第18話 『ハニートラップ』
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俺はこの一連の流れを、沙希にもLINE電話で伝えた。
「・・・、ってことがあったんだよ。困っちゃうよね。」
「それは大変だったね。巻き込まれ事故じゃん。もし私が華の立場で、あっくんがそんなことになってても、何もないって思うけどね。私は信じてるから。」
「ありがとう。まぁ、俺は大丈夫だよ。でも、沙希になかなか会えなくて、心も身体も寂しいけどね。」
「あら?何かネタを提供しよっか?フフフッ。」
「じゃぁ、とびっきりエッチなやつ、お願い!」
「あっくんも、溜まってるのね。」
沙希は笑っていた。久しぶりに直接声を聴いた気がする。しばらくLINEでのやりとりしかしてなかったので、電話は久しぶりだった。入院生活のこと、目のこと、溜っていた話題を滝のように話した。沙希の目は、また少し見えない範囲が広がってきたらしいが、先生曰く、想定の範囲内とのことで、まだ投薬治療による経過観察が続いている。
「そういえば、今週の金曜日に、涼介が日中にお見舞いに来てくれるって。その時に話しておくね。私たちが付き合ってるって言えば、一発で誤解は解けると思うわ!」
「あっ、そうだね!よろしく~。」
あぁ、早く沙希に会いたい。俺は、来週末の講義が終わったら、二時間掛けて病院にお見舞いに行く予定だ。約二週間後か。待ち遠しい。
――次の日。
「お疲れさまでした!」
事務所では、いつもと変わらぬ朝を迎えている。
「お疲れさまでした!」
「お疲れ!」
岡田さんも璃子ちゃんも、いつもと変わらない。予備校でこそ、尖がった態度をとっている璃子ちゃんであるが、事務所では、なぜか至って普通だ。このギャップは何なのか。帰る準備をしていると、後ろから璃子ちゃんに声を掛けられた。
「吉田さ~ん、今週の土曜日、お暇ですか?」
悪魔の誘いは、突然に。
「土曜日か。次の日が答練だから、その日は自習室に籠らなきゃかな~。」
俺は適当に、誤魔化すように応えた。
「も~う、まぁ良いですよ。実は今日、涼介さんと飲みに行く約束してるんですよ。二人きりで!飲んだ後は、ちょっと『楽しいこと』してきちゃいますね!」
楽しいこと?なんだ?俺じゃなくって、今度は涼介を狙うつもりかな?俺の頭は混乱している。そもそも、最初から、俺は狙われていなかったのか?良くわからなくなってきた。仕事後、俺はいつものように予備校の自習室に直行した。二人がサシで飲んでいようと、俺には関係ない。ただただ淡々と勉強を進めるのみである。最近、少しづつではあるが成績が上向いてきたような気がする。今度の実力テストでは、十分上位三十%を狙える手ごたえを感じている。
時計は二十一時を回っていた。キリが良いから、今日はこれくらいで切り上げよう。俺は長机いっぱいに広げていた教材をバッグの中にしまい、帰る支度をした。この時間に予備校を出ると、自宅に着くのは二十二時を過ぎる。自習室に入る前に軽くは食べているが、さすがにお腹が空くので、いつも帰る途中で晩飯は済ませてしまう。予備校から駅へと続く、緩やかな坂の途中には、何軒も飲食店が並んでいる。少し路地を入ば、立ち飲み屋や、小料理屋もある。その路地を抜ける途中で何件かラブホが並んでいて、若者が掃除機に吸い込まれるように、その建物の中に姿を消す。それを見ては、このカップルは今からどういうプレイをするのかと、妄想を膨らませている。
「今日は、何にしようかな~。」
路地に入り、今日の気分に合う飲食店を探す。立ち食いうどん屋を見つけた。ここにしよう。入口のディスプレイを見て何を食べようか吟味をしていたら、2軒となりにある居酒屋から人が出てきたことに気づいた。
「あっ!」
その居酒屋から出てきたのは、涼介と璃子ちゃんだった。俺は慌てて、近くの電柱の陰に隠れる。二人はかなり飲んだのだろうか、涼介はもうフラフラだ。璃子ちゃんが導くようにして、向こうへ歩き始めた。
「ちょっと待て。」
俺は小声で呟いた。二人はあろうことか、ラブホの方へと向かっていた。璃子ちゃんが言っていた『楽しいこと』とは、これのことか。初めっからこれを狙っていたのか?二人はラブホの前で立ち止った。いよいよ中に入ろうとしている。どうしよう。声を掛けるべきか。一瞬の迷いが、俺の行動を遅延させた。
「行こうか。」
涼介の声が聞こえる。遅かった!と、思ったが、幸いにも二人はラブホの前を通りすぎで駅の方へ向かって、再び歩き始めた。
「良かった。」
俺は、胸を撫で下ろした。涼介は、理性と欲望の狭間で、理性の方が勝ったのだ。俺は、しばらく二人を追うことにした。傍から見たら、良く言えば探偵、悪く言えばストーカーみたいだろう。安心したのも束の間、二人は駅前の雑居ビルに入った。二人に気付かれないように、俺は影に身を潜めた。エレベーターに乗り込む姿を確認して、俺もエレベーターの元へと走った。
「三階か。」
三階はカラオケだった。このままエレベーターで上がったら、降りたときの逃げ道がないと思ったので、俺は非常階段を駆け上がる。ちょうど二人は、受付を済ませたところで、部屋へと向かっていた。俺もその後についていた。部屋は三階の一番奥だ。二人が入った部屋が確認できたので、俺も怪しまれないように、受付をする。俺の案内された部屋は、二人の部屋の斜め前の部屋だ。その部屋からは、二人のいる部屋のドアが見える。廊下が明るいので、暗い部屋の中は目を凝らさなければ見えないが、とりあえず、ベストポジションだ。
「ふぅ~。」
大きく息を吐いた。そういえば、結局まだ何も食べてなかった。何か食べよう。最近のカラオケは、食事も美味しいらしい。俺はメニューを手に取る。ファミレス並の品数の多さにビックリした。これにしよう。部屋に備え付けられている受話器を手に取る。
「すみません、ウーロン茶と、オムライス一つ、お願いします。」
一人でカラオケなんて、初めて入った。これがヒトカラというやつか。まぁ、今回は入りたくて入ったわけではない。二人を追いかけてきて、やむを得ず入ってしまったのだ。そういえば、二人はどんな様子だろう。
部屋のドアのガラス窓から、向こうの部屋の様子を伺うも、中が薄暗くて良く見えない。そうしていると、さっき頼んだ料理が運ばれてきた。とりあえず食べるか。二人の様子も気になるが、お腹も空いている。俺はあっという間にオムライスを胃に収めた。俺は再び、二人の部屋を確認する。部屋の中からは、見えないので、トイレに行くついでに、部屋の中を覗こう。部屋を出たら、店員さんが二人の部屋に飲み物を届けていた。その隙間から、中の様子が見える。酔っているからか人目をはばからず、二人はピッタリとくっついている。それどころか、璃子ちゃんは、涼介の肩に寄りかかり、手を絡ませていた。
「これはマズイぞ。」
どうしようかと、考えながら、トイレに行った。最悪、突入するか?でも、そんなことをしたら、ますます拗れそうだ。洋式トイレに座りながら、十五分くらい考え込んだ。そして、トイレからの帰り道、もう一度、二人の部屋の中を覗いた。
「えっ?」
そこには衝撃の光景があった。涼介の脚に跨るように、璃子ちゃんは座っていた。服は着ているが、璃子ちゃんはスカートを履いていたので、その下は、どうなっているかわからない。璃子ちゃんの身体が上下に動いているようにも見える。璃子ちゃんは涼介の方を向いており、涼介からは、ちょうど璃子ちゃんの身体で、俺は見えないはずだ。お願いだから、ただ脚の上に座ってるだけであってくれ。俺は必死に念じた。涼介は上に乗っていた璃子ちゃんを右腕でどけるようにして降ろした。
「はぁ~、良かった。」
俺は胸を撫で下ろした。しかし、安堵したのも束の間、俺の願いは虚しく敗れ去った。涼介は璃子ちゃんを立たせ、お尻を突き出させた。履いていたスカートははだけ、赤い下着が丸見えになる。璃子ちゃんもそれに従うように、壁に手をついた。涼介は、スカートをたくし上げ、璃子ちゃんの履いている下着を左手の指でずらした。曲線が美しい丸みの割れ目に、自分のモノを何度か擦り付けると、そのまま割れ目に押し込んだ。そして、我を忘れるように、激しく腰を振る。
涼介の理性は、悪女の元に、陥落した。
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