第03話 『男同士の仲』


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四人でカフェを出た。講義終わりに入ってから約二時間。もう十六時近くになっていた。
「じゃぁ、みんなまたね~!」
華が言った。
「私も帰るね。」
「俺はもう少し自習室で勉強していくけど、篤はどうする?」
沙希と涼介は続いた。
「俺も晩飯まで自習室で勉強しようかな。」
こうして、男グループと女グループに分かれた。俺と涼介はエレベーターに乗った。涼介は俺の肩を組んで言った。
「俺、華を狙うからよろしく!篤、頼むから手を出すなよ~。そうだ、今日飲みに行かない?」
この男、唐突だ。
「今日?何もないから別に良いけど。」
俺はその勢いに若干引きながら応えた。
「じゃぁ十八時に一階のエントランスで!」
「了解!」
俺らもとりあえず一旦別れた。

――18:05。

「お待たせ!ごめん、ちょっと遅れた。」
「俺も今来たとところ。」
俺らは建物を出て、駅の繁華街の方へと緩やかな坂道を下った。何か不思議な感じだ。今日初めて話したヤツとこれからサシで飲みに行く。信じられない。この三ヶ月間、誰とも話してすらいなかったのに、まさかこんな展開があるとは。塚原先生が答案をばら撒いてくれたおかげだ。ありがとう、塚原先生。
「居酒屋で良いよね?」
ありがたいことに、ここでもまた涼介が仕切ってくれた。涼介は俺に歩く早さを合わせながら、少し半身になって俺の方を向いて話し始めた。
「いや~、まさかだったね。先生、ナイスアシスト!しかもみんな歳が近いし!」
「そうだね、一生リアル受験生友達はできないと思ってたわ。」
坂のふもとに一軒の居酒屋があったので、そこに入る。
「いらっしゃい!」
威勢の良い声が俺らを迎え入れる。店内は少し狭い感じだったが、席の広さは十分。一番奥の席に通された。
「生中で!」
「じゃぁ俺も!」
三十秒もしないうちに、お通しと生中が席に運ばれてきた。
「では、改めて、乾杯!」
「お疲れ~!」
まずはグビグビと喉を潤す。勉強で疲れた全身に活力が行き渡った。考えてみたら、友達と飲みに来たのなんていつ振りだろう。九月からバイトに予備校に忙しく、そんな余裕がなかったのかもしれない。なんか感動だ。しかも同じ予備校に通う、同じクラスの友達だ。
「それで、どうなのよ~?」
涼介が俺に話を振った。
「どうって、何が?」
「またまた~。あの二人、どう思う?」
「あぁ~、まぁまぁ、そういう話は、もう少しお酒が回ってからで!」
さすがの俺も、今日初めましての人とそういう話をするのは躊躇したので、とりあえず他の話を振った。
「涼介はさ、何で税理士を目指してるの?」
涼介は少し驚いたような表情をしたが、真面目な顔をして静かに口を開いた。
「お父さんが税理士なんだよね。俺はその後を継ぐために勉強をしてる。まぁ、会計は嫌いじゃないから良いんだけどね。」
「そっか。そういう事情もあるんだね。俺なんて大学で簿記二級を受かったからその流れでというか。なんか動機が曖昧で。そういう明確な目標みたいなのがあって良いな。」
「でも、逆にいえば、合格するまでやめられないから、そのプレッシャーは結構キツい。予備校代もバカにならないしね。毎年予備校にお布施するのも申し訳なくて。なんとか来年は『消費』に受かって、官報にリーチをかけたい。」
「なんかごめん。俺も負けないように頑張らないとな!」
涼介は俺が暗い表情になりかけたのを察したのか、その場を盛り上げた。
「まぁまぁ、こうして飲み友になったんだし。もう一回、カンパ~イ!」
こうして、俺たちは酔いが良い感じに回ってきた。そろそろ理性のリミッターが外れそうだ。そのタイミングで涼介は最初の話を切り出す。
「それで、どうなのよ~?篤は彼女とかいんの?」
「今はいないかな。去年の春に別れちゃった。」
「そっか、いないのか。その彼女は可愛いかった?今、ひとり暮らしだっけ?」
矢継ぎ早に質問が飛んでくる。
「うん、一応可愛かったかな。大学に入ってすぐ、ひとり暮らししてるよ。」
「可愛い彼女なんて良いな!じゃぁ、毎晩セックスしてたんだ!うらやまし~。どういうプレイしたことある?写真あったら見たい!」
男とはこういう生き物である。俺もこういう話しは嫌いじゃない。
「そこはご想像にお任せするよ。とりあえず身体のラインがキレイだったかな。俺はおっぱいと脚フェチだからね。」
ちょっと威張った感じで言ってやった。俺のターン。反撃開始だ。見ていろ。
「そういう涼介はどうなのよ?」
「俺はね、高校卒業までは彼女がいたけど、別々の大学に行くことになって、段々フェードアウト。その彼女、相当エロかったよ。放課後の誰もいない教室でヤッたり、昼休みに呼び出してフェラしてもらったり。あとは、ノーパンで学校に来てもらったこともあった。もったいなかったな。大学が一緒だったら、まだまだつき合ってたかも。性的な意味で。笑」
「性的な意味で。笑」
俺らはゲラゲラと周りを気にせずに大声で笑いあった。それにしても涼介もエロレベルが高い。俺が攻めるまでもなく、自分からオープンに話してくれる。自分で言うのもあれだが、俺に引けを取らないくらいだ。そっち方面でも話しが合いそうで良かった。
「でね、俺は今、あの子を狙ってる。だって、あのおっぱい最高でしょ。」
「華のこと?俺もあのおっぱいは最高だと思う。やっぱりおっぱいは男のロマンだよね!」
「そうそう、どうにか俺のものにしたい。性格も良さそうだし!」
周りの人がもし聞いて入れば、引かれるレベルの下衆な内容だ。それでも、とにかく笑い、腹筋がよじれるくらいに楽しかった。
「だから、華には手を出すなよ!篤はもう一人の、えっと、沙希を狙ったら?今、彼女いないんだし。沙希って、おっぱいは大きかったっけ?」
「それが、パーカー着てて、外からじゃよくわからなかったんだよ。それに俺、奥手だからそういうのは、ちょっと・・・。」
「そっか、じゃぁ、いつか全部脱いで見せてもらわなきゃだな!それで、みんなでヤるか!」
「ガハッハハッハッ」
最高だ。本当にノリが合う。そうこうしているうちに、終電の時間が迫っている。
「今日はこんなところで。」
「うん、これからもよろしくな!」
俺らは固い握手をして、帰路についた。

――翌日、事務所にて。

「吉田君、先生に相談してみた?」
岡田さんが俺に朝イチで聞いてきた。
「はい!『消費税法』は通学継続で、『簿記論』を通信でやることにしました。」
「そうか、二科目はなかなか大変だけど頑張れよ!璃子ちゃんも『簿記』受けるみたいだから、お互い助け合って!」
「そうですね、吉田さん、よろしくお願いします!」
璃子ちゃんも話しに入ってきた。
「吉田さん、なんか嬉しそうですね。何かありました?」
鋭い。俺は昨日、リアル受験生友達ができたのだ。でもそれを正直に言うと色々と面倒くさいので、適当に返した。
「先生が思いのほか親身になってくれてさ~。」
「そうだったんですね!八月の本試験まで一緒に頑張りましょうね!」
璃子ちゃんは満面の笑みでそう言った。可愛い。非常に可愛い。璃子もその気なのだろうか。俺はいつでもウェルカムだ。と、そんな妄想を膨らませていたら、始業のチャイムがなった。


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