このたび、一般社団法人日本租税検定協会の理念に賛同し、租税教育推進を目指す者として、日本租税検定協会の個人会員に加わらせていただきました。
以下に、その経緯と思いについて記したいと思います。
租税教育推進とその課題
私が税理士を目指した最たる動機は『租税教室の講師をやりたい』というものでした。その後、無事に税理士となり、現在は租税教育推進に寄与すべく、小学校等での『租税教室』を積極的に行っております。
子どもたちと、『社会』をつなげる。
家族で、『社会』について考える。
そんなきっかけ作りができるようにとの思いがございます。
小学校等での『租税教室』は、普段『税』について考える機会が少ない子どもたちに、『税』について、その役割や必要性について伝えたりと、とても有意義な時間となっております。
しかしながら、その授業時間は約40分で、1度の機会で『税』のすべてを伝えるのは難しく、断片的なものとなってしまうのも事実です。よって、子どもたちが『税』について網羅的に学習する機会や、日ごろから『税』について触れる機会をどのようにしたら増やせるのか?ということを、考える日々でございました。
かくいう私も、まだまだ『税』について熟知しているとは言い難く、『租税教室』の内容を通じて、さらにその周辺知識を研鑽すべく、『税』のなりたち、日本の立法の仕組みなどから、小学校等ではどのように『税』についての授業が展開されているか(学習指導要領)を情報収集しておりました。これは散らばった情報をかき集める作業で、このあたりの分野を体系的に学べる書籍やコンテンツが少ないという状況でした。
その解決策の1つとしての検定試験
そこに、一般社団法人日本租税検定協会が『租税検定』という新しい検定を2024年11月に実施(第1回)することを知ります。下記が、租税検定のサイトです。
この日本租税検定協会は、『すべての人の租税の”学び”を支える活動を通じて、我が国における租税教育の振興と日本文化の発展に寄与してまいります。』との目的のもと、『「租税を通して社会を知る」をモットーに、租税検定の学習を通じて、受験生の皆さまが現在の社会や国の在り方を考えるキッカケとなれば幸いです。』という方針で検定試験が運営されております。
まさに、冒頭で述べた私の思いと通ずるところが多くございました。
さらに、この検定は1級~4級まで段階的なレベル設定があり、それぞれ世代別に体系的に学習ができる仕組みとなっています。
4級 | 小学生以上 |
3級 | 中学生以上 |
2級 | 高校生以上 |
準1級・1級 | 大学生・社会人 |
出題範囲についても、私が欲していた『税』について体系的に学べるようになっております。(私も学ばせていただいております。)
私自身、租税教室講師としての授業の深みを持たせるための勉強を進めていると、『公民』『政治経済』といった中高の教科書レベルの基礎的な内容にも手を伸ばすことになるのですが、なかなかこのあたりを網羅した良い書籍が見当たらないのが現状です。(私の調べ方が悪いだけかもしれませんが・・・)
この租税検定の出題範囲は、本当に痒い所に手が届くような内容で、私がまさに『知りたいこと、ここに在り』です。
それはすなわち、子どもたちに伝えたいことでもあります。
教養としての学習
検定試験に合格することは、ご自身のその時点での理解度を図るものにすぎず、それ自体が目的になるべきではないと考えます。(無論、合格は素晴らしいことですが。)
この検定試験の学習を通じて、『税』について知る、考える、活用する。このステップこそが重要で、小学生のうちから学習することで、普段『税』について考える機会が少ない子どもたちに、その機会を与え、『税』の生活へのかかわりを認識できるようになれば良いなと思います。(小学生への『租税教室』では、そのような内容の授業を行っています)
小学校6年生を前にこのような下地ができれば、その後、通常小学校6年生と中学校3年生のタイミングで実施する『租税教室』ではその学習の補完として、ストーリーの軌道修正や新たな疑問・活発な議論が生まれ、相乗効果が期待できると考えます。
『租税教室』をすると、『税』は罰金である。と負の側面でのみ捉えている子どもたちも少なくありません。そうではなく、『税』は納めるもの、より良い社会へとつながっていくものということを、マインドとして持ってもらえれば良いなと思います。
日本租税検定協会代表理事の酒井克彦先生は、「税は民主主義のチケットです。」とおっしゃられております。
子どもの頃から、税制の仕組みや税の使われ方により多くの関心を持ち、「読み・書き・そろばん」レベルで身に着けておくことで、将来的に『税』で困る方々を減らし、さらには、全体的な租税リテラシーが向上するのではないでしょうか。
他の租税教育推進アプローチとして
『租税教室』を行っていると、子どもたちは『税』の役割についての話などに真剣に耳を傾けてくれるのですが、ほかにも『税』の種類についても興味がある様子でした。しかしながら、約40分という限られた時間のなかでは、やはり断片的な紹介しかできず、子どもたちの興味を取りこぼしてしまっていると感じております。
そこで、私個人的なアプローチとして、『税』の種類(所得税、たばこ税、酒税、とん税・・など)の紹介・説明に重きを置いたコンテンツを展開しようと計画をしています。まだまだ構想段階なので時間がかかるかもしれませんが、コツコツと準備を進めているところです。
遠い将来の野望ですが、さらに派生して、小学生よりも前、すなわち未就学児でも楽しく読める(学べる)、絵本のようなものを制作できれば良いなと考えています。
これらの『租税教室』で伝えきれなかったことを発信する場所として、『租税教室』の延長戦・補講として、Webサイトを立ち上げました。こちらで、主に子どもたち向けに『税』に関するコンテンツを充実させていく予定です。
ご興味ございましたら、ぜひご覧ください。
コメント